進歩性に悩める弁理士のブログ

主に自己の業務の備忘録として思うまま書いていきます ※業務以外の雑談も

2022-01-01から1年間の記事一覧

【裁判例】令和3(行ケ)10080 引用発明の認定誤り

今回は「令和3(行ケ)10080」について検討します。判決言渡日は2022/05/11です。無効審判での特許維持審決に対しての取消請求事件であり、審決が取り消され、結果的に特許が無効になったものです。【本件発明(特許6440319)の概要】印刷物に関するものであり…

【裁判例】令和2(行ケ)10128 一致点の認定の誤り

今回は「令和2(行ケ)10128」について検討します。判決言渡日は2021/12/22ですが2022年分の検討対象とします。拒絶査定不服審判での拒絶審決に対しての取消請求事件であり、審決が取り消され、結果的に特許となったものです。【本件発明(特願2015-106553)の…

今年も残すところ僅か

早いもので今年もあと3週間。やり残したことが色々ありすぎて焦ります。焦りますと言いながら平日仕事を休んで山に行ったりしていますが(苦笑)。写真は一昨日登った日本百名山の一つ、両神山の山頂からの景色です。360°の大展望でした。 さて、以下は今年…

弁理士志願者の減少

去る11月17日、特許庁HPに「令和4年度弁理士試験統計」という情報がアップされました。(合格発表は11月10日だったようです。)近年この手の情報はタイトルだけ見て「あぁ、今年もそんな時期か」と思うだけで内容を自分から見に行くことはなかったのですが…

トランスジャパンアルプスレース2022視聴

少しご無沙汰しているうちにすっかり秋が深まりました。下の写真はさっき散歩がてら撮ってきた近所の紅葉です。なかなか綺麗でした。 以下、上の写真とは関係のない話題です。先日の11/5(土)、NHK-BSにて「激走!日本アルプス大縦断2022」の前半が放送…

上諏訪良いとこ一度はおいで

先週の週末のことですが、長野のお客様*1と一緒に蓼科山に登る機会があり、下山後、そのお客様のおすすめで上諏訪の酒蔵に立ち寄りました。あとで調べてわかったのですが、諏訪市の甲州街道沿いの非常に近い距離に五つの酒蔵が立ち並んでおり、「諏訪五蔵」…

久々にメンタルにきました(涙)

設計事項を連発する審査官がいるという話を以前書きましたが(こちら)、先週その審査官とはじめて電話で話す機会がありました。一体どんな審査官だろうと若干緊張しながら、補正案を見て欲しいと伝えたところ、「いいですよ」とここまでは至って普通の感じ…

キンモクセイ

ほんの2日ほど前、自宅庭のキンモクセイに白い花がついて甘い香りが漂い始めて「あぁ、この季節がやってきたか」と思ったら、あっという間にオレンジ色に染まりました。白からオレンジへの変化の速さに驚きましたが、毎年驚くのは咲くタイミング。私の住ん…

ダイレクト拒絶査定

8月もあっという間に終わり・・・という記事をつい先日書いたと思ったら、もう9月も終わりに近づいてきました。10月に入ったら、もう殆ど今年も終わりのようなものです(苦笑)。10月からの3か月は本当に速いですからね。さてこのシルバーウィークは…

久しぶりの息抜き

7月から繁忙が続いていますがようやくトンネルの出口が見えてきました。まだもう少し油断できませんが、夏休みも全く取得していなかったので、1日だけ息抜きをしに行ってきました。 JR藤野駅をスタートし、陣馬山、景信山、高尾山を経由して京王高尾山口駅…

8月も終わり

気づいたら盆も過ぎあっという間に8月も終わりです。お盆期間中は仕事の休みもなく、ひたすら明細書の執筆に明け暮れていました。判例などいろいろ勉強したいのですが、なかなかそうもいかない状況が続いています。暫くこの状況は続きそうです。(9月後半…

今日は山の日

最近、明細書執筆で若干バタバタしておりブログ更新が少し間が空いてしまいました。そして今日は仕事と関係のない話です。自分は登山を趣味にしており、NHKのグレートトラバースをこよなく愛しています。今日は、田中陽希さんの講演会に行ってきました。あす…

設計事項かどうか

先日、特定の審査官から設計事項を連発されていることをぼやく記事を投稿しました。そして一度「設計事項」をおさらいしておかなければと思い立ち、簡単ですがおさらいしてみました。先ず、最も基本となるのが審査基準の以下の記載です。これらは設計事項に…

審査官も色々

審査官ネタが多いですが、この記事以降は当分ないかと思います。今週も2件、審査官に補正案を送りました。*1私の場合、回答を頂く期日を審査官と取り決めてこちらから電話して回答を頂く、というスタイルにしています。理由は、会議中や移動中に電話を頂い…

財前教授を思い出す

これまで実務に関する記事ばかりでしたが、今後は時折実務に関係のない雑談も書いていきたいと思います。。さて唐突ですが「白い巨塔」というドラマがあります。古いですがそれなりの年代の方で知らない人は少ないのではと思います。非常に重厚な見ごたえの…

審査の差が激しい

今週は良いことと悪いことが両極端でした。*1良いことは、お客様が競合他社牽制の為に分割した出願・・・かなりチャレンジ的な、特許性の厳しいと思われていた案件が、特許される目途がついたこと(厳密には、たくさんある請求項の一部だけ拒絶で残りはOKと…

久々に補正なしで特許

早くも7月に入り、今年も半分が終わってしまいました。この先もあっという間に過ぎていくでしょう。色々怖いですね。あすみ特許事務所での活動もまだまだといったところです。ところで表題の通り、今週は久々に補正なしで特許の案件が発生しました。*1厳密…

審査官面接

本日、審査官へ電子メールで補正案を送った案件について審査官から「OKです」の連絡を頂きました。*1特許出願の拒絶理由通知は以下のパターンが大半を占めますが・・・ i)新規性欠如と進歩性欠如の少なくともいずれかを含み、記載要件違反は無し ii)記載…

2018年の裁判所の進歩性判断

先日投稿した「弁理士会のel研修(進歩性)」の「4.平成30年(2018年)言渡し審取・侵害判決に見る進歩性判断(総論)(収録時期不明)」を聴講しました。後半は侵害訴訟での進歩性判断のお話でしたが後半のポイントは割愛し、前半のポイントは以下の通りです…

仕事の納期と品質

このところ中間案件がやたら多く発生し*1、難しい案件も含まれていて、進歩性の判断動向の勉強が進んでいません。ところでこの仕事(明細書、補正書、意見書などを書く仕事)ですが、仕事のすすめ方のタイプとして以下にように分かれる気がします。 一通り書…

2016年頃の裁判所の進歩性判断

先日投稿した「弁理士会のel研修(進歩性)」の「1.判決からみた進歩性に関する判断動向と改訂審査基準との比較(2016.5.20収録)」を聴講しました。自分が確認したかった進歩性判断動向は以下の通りです。 2008年以降(~収録時点まで)は裁判所の進歩性判…

2013年頃までの裁判所の進歩性判断

先日投稿した「弁理士会のel研修(進歩性)」の「7.知財高裁の進歩性判断基準の激動期が過ぎたのか、揺り戻しはあるのか-記載要件などの考え方における特許庁と知財高裁との乖離問題を含めて(2013.11.15収録)」を聴講しました。元知財高裁判事の塚原先生の…

進歩性の審査基準の変遷(超ざっくり)

表題の件、長いこと実務やってきてその時々で接してきたものの忘れてしまったのでポイントを再確認してみました。先ず、2000年に改訂されています。ポイントは以下の記載です。”関連する課題解決のために、関連する技術分野の技術手段の適用を試みることは、…

弁理士会のel研修(進歩性)

弁理士会のel研修で「進歩性」で検索すると、現在22件ヒットしますが、自分の普段の業務範囲を踏まえて化学・電気分野および外国関連は除外すると、以下のものが挙げられます。 判決からみた進歩性に関する判断動向と改訂審査基準との比較(2016.5.20収録…

進歩性を勉強しなおすープロローグ

最近、審査官の進歩性の判断が辛いと思うケースが増えた様に思います。ただどちらかというと、審査官ごとの審査の質のばらつき、という感じです。例えば、本件発明と主引用発明との間に明確な構成の相違があり、その相違点が周知慣用技術でもなく他の引用例…

ブログ開設しました

弁理士の鈴木です。「主に自己の業務の備忘録として思うまま書いていきます」とのサブタイトルの通り、”自分の頭の中を整理するため”に思うまま書いていきます。何かのご縁でこのブログを目にされた方がいらっしゃいましたら、今後ともどうぞ宜しくお願い致…