進歩性に悩める弁理士のブログ

主に自己の業務の備忘録として思うまま書いていきます ※業務以外の雑談も

裁判例

2023年の裁判例<まとめ>

ちょっと(というかかなり)遅ればせながら明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。 今回は、昨年判決が出された、進歩性のキーワードを含む審決/取消決定の取消請求事件に関し簡単に(極めて簡単に)総括します。当方が把握し…

【裁判例】 令和3(行ケ)10152 サポート要件の判断の誤り

今回は「令和3(行ケ)10152」について検討・・・いえ、軽くコメントします。 判決言渡日は2023/9/20です。無効審判の不成立審決を取り消す請求に対し、理由があるとして審決が取り消されたものです。(特許庁はサポート要件充足と判断、裁判所はサポート要件…

【裁判例】 令和4(行ケ)10111 容易想到性の判断の誤り

久しぶりに特許庁と知財高裁とで進歩性の判断が異なる事案が生じたので検討します。発明内容の説明で少し長くなるかもしれませんがおつきあい下さい。 「令和4(行ケ)10111」です。判決言渡日は2023/7/25です。無効審判の不成立審決を取り消す請求に対し、理…

【裁判例】 令和4(行ケ)10029 容易想到性の判断の誤り

今回は「令和4(行ケ)10029」について検討します。判決言渡日は2023/3/27です。異議申立の取消決定を取り消す請求に対し、理由があるとして取消決定が取り消されたものです。(特許庁は進歩性なしと判断、裁判所は進歩性ありと判断) 尚、最初に申し上げてお…

【裁判例】 令和4(行ケ)10009 容易想到性の判断の誤り

今回は「令和4(行ケ)10009」について検討します。判決言渡日は2023/3/27です。異議申立の取消決定を取り消す請求に対し、理由があるとして取消決定が取り消されたものです。(特許庁は進歩性なしと判断、裁判所は進歩性ありと判断)【本件発明1(特許667470…

【裁判例】 令和4(行ケ)10037 技術分野の関連性

今回から令和5年の裁判例の検討スタートです。令和5年も、当分は3/22の記事に記載した基準で裁判例を取り上げることとしますが、今年は1年ぶんを短期間でまとめて検討した令和4年裁判例と違い、リアルタイムでチェックしていくことができるため、余裕があれ…

2022年の裁判例<まとめ>

昨年12/11の記事で、1年間の裁判例を以下に絞って検討すること、そして2022年の場合8件がそれに該当すること、を記載しました。(1)審決取消訴訟であり、審決が取り消されたものであること(2)進歩性のキーワードが含まれること 尚、12/11の記事では書きませ…

【裁判例】 令和3(行ケ)10140 プロダクト・バイ・プロセスクレーム

今回は「令和3(行ケ)10140」について検討します。判決言渡日は2022/11/16です。無効審判の不成立審決を取り消す請求に対し、理由があるとして審決が取り消されたものです。 今回も前回同様、「進歩性」のキーワードを含むため検討をはじめたのですが、内容は…

【裁判例】 令和4(行ケ)10019 明確性要件

今回は「令和4(行ケ)10019」について検討します。判決言渡日は2022/11/16です。無効審判の不成立審決を取り消す請求に対し、理由があるとして審決が取り消されたものです。「進歩性」のキーワードを含むため検討をはじめたのですが、内容は進歩性判断ではな…

【裁判例】 令和3(行ケ)10136 容易想到性の判断誤り

今回は「令和3(行ケ)10136」について検討します。判決言渡日は2022/08/31です。無効審判で無効にされた部分を取り消す請求に対し、理由があるとして審決が取り消され、結果的に特許されたものです。【本件発明(特許613832)の概要】 電子部品の端子を基板の…

【裁判例】 令和3(行ケ)10070 引用発明の技術認定誤り

今回は「令和3(行ケ)10070」について検討します。判決言渡日は2022/06/28です。無効審判での特許維持審決に対しての取消請求事件であり、審決が取り消され、結果的に特許が無効になったものです。尚、本件は個人的に詳しく掘り下げる元気があまり出ませんで…

【裁判例】令和3(行ケ)10082 阻害要因

今回は「令和3(行ケ)10082」について検討します。判決言渡日は2022/05/31です。拒絶査定不服審判での拒絶審決に対しての取消請求事件であり、審決が取り消され、結果的に特許されたものです。【本件発明(特許7136755)の概要】電気絶縁ケーブルに関するもの…

【裁判例】令和3(行ケ)10080 引用発明の認定誤り

今回は「令和3(行ケ)10080」について検討します。判決言渡日は2022/05/11です。無効審判での特許維持審決に対しての取消請求事件であり、審決が取り消され、結果的に特許が無効になったものです。【本件発明(特許6440319)の概要】印刷物に関するものであり…

【裁判例】令和2(行ケ)10128 一致点の認定の誤り

今回は「令和2(行ケ)10128」について検討します。判決言渡日は2021/12/22ですが2022年分の検討対象とします。拒絶査定不服審判での拒絶審決に対しての取消請求事件であり、審決が取り消され、結果的に特許となったものです。【本件発明(特願2015-106553)の…