進歩性に悩める弁理士のブログ

主に自己の業務の備忘録として思うまま書いていきます ※業務以外の雑談も

2022年の裁判例<まとめ>

 昨年12/11の記事で、1年間の裁判例を以下に絞って検討すること、そして2022年の場合8件がそれに該当すること、を記載しました。

(1)審決取消訴訟であり、審決が取り消されたものであること
(2)進歩性のキーワードが含まれること 

 尚、12/11の記事では書きませんでしたが化学、バイオや、電気、電子、情報などで内容が複雑高度で理解が困難なものは除きます。ここで(2)の「進歩性のキーワード」とは、具体的にはパテントビューロから送信される「新着判例速報メールマガジン」に含まれるキーワードのことです。
 昨年12月からこれまで少しずつ、上記8件のうち7件の裁判例を検討してきましたが、残り1件(令和3(行ケ)10085)は検討に時間が掛かりすぎる様に見受けましたので検討は見送ることとし、2022年の裁判例の検討はここで終わりにすることとしました。

 7件の裁判例を検討した結果一番感じたことは、事例に応じてクレームが広く解釈されたり狭く解釈されたりする(ように見える)ことです。これは、進歩性の判断動向が全体的にどうこうといったこととは乖離し、やはり個々の判断が人によってなされるものである故に、それによるばらつきといった感じの性質に見受けます。
 いずれにしましても7件の裁判例を検討しただけでは、その年の進歩性判断の動向をあれこれ語ることはできなさそうです。とはいえその範囲でも、何か特段これまでの常識を覆されるような判断というものは無い様に感じました。
 なお、36条関係の判断は実務に直ちに活かすことができる場合が多そうです。ですので2023年は、36条関係の判断が示された裁判例も積極的にチェックして行こうと思います。