進歩性に悩める弁理士のブログ

主に自己の業務の備忘録として思うまま書いていきます ※業務以外の雑談も

弁理士志願者の減少

去る11月17日、特許庁HPに「令和4年度弁理士試験統計」という情報がアップされました。(合格発表は11月10日だったようです。)
近年この手の情報はタイトルだけ見て「あぁ、今年もそんな時期か」と思うだけで内容を自分から見に行くことはなかったのですが、久しぶりに開いてみたら、弁理士志願者の激減ぶりに驚きました。

(出典:特許庁HP「令和4年度弁理士試験の結果について」)

上記のグラフの一番左端、平成15年(2003年)が私が合格した年で、ちなみにそれより前の志願者数は1990年の約3000人から右肩上がりとなっていました。平成20、21年の約1万人をピークに減少を続け、今年は3558人とのこと。ただ、グラフの傾向としてはそろそろ下げ止まってきた、という感じでしょうか。
他士業も多くは弁理士同様に志願者数の減少がみられるようですが、その中でも弁理士はかなり顕著に減少している様です。
特許庁の資料(平成31年)を見ると、その原因として、2013年まで合格者数が多かった為に受験回数を重ねていた志願者がひととおり合格した、国内出願数の減少に反して弁理士が増加して競争激化により魅力が低減した、企業知財部志向の強まり、のこれら3点を挙げています。

実際に特許事務所で実務をやっている身として、「そりゃ志願者数減るよね・・・」と肌で実感するような空気というか魅力の低下はそれほど明確には感じません。ですが、事務所での業務は企業相手の仕事が殆どであり、企業を取り巻く外部環境がかれこれずーーーっと(リーマンショック以降?)厳しいままで上向く兆しがないことからすると、当然特許事務所での仕事に関し良い噂や口コミも流れないでしょう。少なくとも志願者数が増える方向に行かないのは当然でしょうね。実際に資格に魅力があること、そしてそれを世の中にきちんと発信すること、この2点が志願者数を増やす為に必要なのでしょうが、果たして特に前者は実際どうなのか・・・。

ただ、この仕事は相当に向き不向きがあり、こういった時代でも特許事務所は慢性的に「優秀な人材」が不足しています。当然、「優秀な弁理士を探しているが、なかなか見つからない」という企業も依然として多く存在すると思われます。つまりこういった時代でもニーズは間違いなくあり、そのことを忘れてはなりません。

※これから弁理士を目指す方に向けて書いてみました。