進歩性に悩める弁理士のブログ

主に自己の業務の備忘録として思うまま書いていきます ※業務以外の雑談も

2018年の裁判所の進歩性判断

先日投稿した「弁理士会のel研修(進歩性)」の「4.平成30年(2018年)言渡し審取・侵害判決に見る進歩性判断(総論)(収録時期不明)」を聴講しました。
後半は侵害訴訟での進歩性判断のお話でしたが後半のポイントは割愛し、前半のポイントは以下の通りです。

・無効審判での請求成功率(特許を潰せた確率)24%(2017年)
・拒絶査定不服審判の請求成功率(特許にできた確率) 約70%(2017年)
・新しい異議申立制度での取消率(特許を潰せた確率)11%(2017年)
・無効審判での無効審決(進歩性無)が裁判で取り消された割合(進歩性有りとされた割合):約3割
・無効審判での有効審決(進歩性有)が裁判で維持された割合(進歩性有りとされた割合):約8割
・拒絶査定不服審判の拒絶審決(進歩性無)が裁判で取り消された割合(進歩性有りとされた割合):約1割 ※拒絶審決が年間5000件くらい出される中、頑張って取消訴訟を提起して成功した貴重な事案(21件中3件)。

 

今回は数字だけのお話までとしますが、拒絶査定不服審判の審決取消訴訟を提起することがいかに勇気のいることかが判りました。拒絶査定不服審判結果は、殆ど受け入れるしかないということになります。
ただ、特許庁が出している資料(「審判の動向(令和2年度)」)によれば、審判合議体が直ちに拒絶査定を維持する割合は2019年で11%であり、年々減少してきており、また審判において拒絶理由を通知する割合が増加しているとのことです。
ですから審査官の審査が少しでもおかしいと感じたら、躊躇せずに拒絶査定不服審判を請求することが好ましいと言えそうです。その結果、(あくまで数字上での話ですが)9割の確率で何らかの新しい結果が得られるということになります。