進歩性に悩める弁理士のブログ

主に自己の業務の備忘録として思うまま書いていきます ※業務以外の雑談も

【裁判例】 令和3(行ケ)10152 サポート要件の判断の誤り

 今回は「令和3(行ケ)10152」について検討・・・いえ、軽くコメントします。
 判決言渡日は2023/9/20です。無効審判の不成立審決を取り消す請求に対し、理由があるとして審決が取り消されたものです。(特許庁はサポート要件充足と判断、裁判所はサポート要件充足しないと判断)

 「軽くコメント」というのは、本ブログでは裁判例を取り上げる場合、争点となる技術内容を極力判り易く説明した上で、争点と自己の考察を記載する方針ですが、時々元気がなくなるときがあります。理由はほぼ一貫しており、「明細書が読みにくい場合」です(苦笑)。
 明細書が読みにくいというのは、技術内容が難解(自分にとって不得手な技術分野)であるが故に読みにくい場合と、技術内容はそれほど複雑ではないのだけれど単に明細書が読みにくい場合とがあり、本件は後者のケースです。こんなことを書くとその明細書を書いた先生に大変失礼かもしれませんが、明細書が読みにくいというのは、誰が読んでも読みにくいという場合(書き手側の問題)と、個人の問題(読み手側の問題)の場合があり、本件は後者なのかもしれませんが。
 ですのでざっと判決文を読んで、ポイントだけ軽くコメントします。

 樹脂成形方法に関する発明で、解決しようとする課題が「生産性及び作業性に優れており、安価に作業ができる」というものであり、それに対する解決手段が、実施例では「搬送トレイ」というものを不可欠の構成としているのに対し、クレームには「搬送トレイ」が含まれていません。判決は、本件発明は本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていない発明を含むから、特許法36条6項1号の要件を満たさないサポート要件違反であり、審決はこのことを検討して判断したものといえない、として審決を取り消しました。

 結論だけを読むと「ありがちなやつね」という感じですが、無効審判での特許権者側の主張を読んでいませんが課題解決手段がクレームに盛り込まれていないにも関わらずうまいこと主張して無効審判を不成立に持っていった、ということであれば、それはちょっと興味があるところです。

【詳細情報】
知財高裁 裁判例検索結果へのリンク


※注)上記裁判例に関する本ブログの記載はあくまで個人的な見方となりますこと、ご了承ください。


 
 

U18ベースボールW杯 優勝!

またまた高校野球の話題です。今年はちょっとこれが多いかな(笑)。
昨日から今日にかけてのスポーツニュースはラグビーW杯でのチリ戦勝利やサッカーのドイツ戦勝利が大勢を占めていますが、昨日、野球のU18W杯で日本が優勝を飾りました。日本はU18では初優勝となり、今年春のWBC優勝に続く嬉しい結果となりました。
甲子園出場した高校、出場できなかった高校の双方から計20人が選抜され、開催国台湾において世界各国のU18代表と戦いました。
オープニングラウンドの上位計6か国がスーパーラウンドに進出し、スーパーラウンドでの上位2か国が決勝戦を戦い、優勝を決めるというもの。日本と台湾が昨日の決勝戦に進み、結果2-1で日本が勝利を収めました。
これを観戦するために、J SPORTSを契約して第1戦から全戦観戦しましたが、一番に感じたのはU18世代において日本の野球は非常にレベルの高いものでした。敢えて言うと、日本、台湾、オランダ以外は粗削りというか、まだまだ完成されていないなと感じます。甲子園というものが日本の野球レベル向上に大きく貢献しているのかもしれませんね。
昨日の決勝の立役者は間違いなく先発完投の前田投手(大阪桐蔭)でしょう。本当に見事なピッチングでした。マウンド上での度胸もピカ一。ピンチでも表情を変えることなくすまし顔で淡々と投げ続ける姿は最高にカッコよかったです。ただ、もし甲子園に出ていたら、これほどまでのパフォーマンスは発揮できなかったかもしれません。
そういう意味で、甲子園出場選手たちは本当に日程的に酷でしたが、その中でも沖縄尚学の東恩納投手は甲子園でのパフォーマンスをそのまま発揮していました。すごいことだと思います。
ところで・・・決勝のスタメンを高校名だけで記載すると以下になります。
1(一)明徳義塾
2(遊)仙台育英
3(二)横浜
4(DH)山形中央
5(中)慶応
6(三)聖光学院
7(右)沖縄尚学
8(捕)仙台育英
9(左)仙台育英
(先発P)大阪桐蔭
・・・そうそうたる甲子園常連校が連なる中で、あまり聞きなれない学校名が1つだけあります。4番指名打者の武田君の高校ですね。ここ、私の母校です。(以前、ちょっと記事に書きました。)
山形県全体で考えてもU18メンバーに一人が選出されたということはすごいことだと思いますが、山形中央高校としても本当にすごいことだと思います。
今回、前田君や東恩納君、丸田君ほど報道では取り上げられなかったかもしれませんが、初戦のスペイン戦では勝利投手、ベネズエラ戦では5回と6回を0封、韓国戦ではピンチでの火消しに成功してセーブがつき、その次戦でのプエルトリコ線では4番指名打者でタイムリー先制打を放ってヒーローインタビューを受け、さらにその次戦での台湾戦でも4番指名打者でタイムリー先制打を放ちました。素晴らしい「投打」での活躍でした。
プロ志望か大学進学かは判りませんが、今後の活躍が本当に楽しみです。

高校球児の髪型に思う

 今年の夏の甲子園も熱戦が続いていますね。
 以前の記事では私の母校のことを書きましたが、山形県大会決勝で私の母校を破った日大山形は残念ながら初戦敗退となりました。ですが、日大山形を破ったおかやま山陽はベスト8まで勝ち進んだので、それだけの実力があったということでしょう。

 さて昔は、高校球児の髪型は丸刈りが当然でした。ですが、今年の夏の甲子園ベスト8のうち3校が「非・丸狩り」だそうです。具体的には、慶応、土浦日大花巻東の3校。
 特に慶応球児たちのサラッと爽やかヘアーは、高校球児とは思えないおしゃれさです。ネットの記事によると、どうやら「頭髪の取り決め」について、5年前は76.8%だった「丸刈り」が、いまでは26.4%に激減しているそうです。
 頭髪に関しての慶応の監督さんの談話がネットに載っていましたが、非常に共感できるというか、よくぞ言ってくれた!と感じました。
”「昔から坊主頭が当たり前なのだから、それでいいじゃないか」という旧態依然とした習わしに倣っただけの思考停止。そちらのほうが罪深い。”と仰っていたそうです。

 古き悪しき慣習、というものは至るところに見られます。
 ちょっと事案が違うのですが、(20年以上前のことですが)うちの妻が第1子を出産する際、無痛分娩を選択できないか主治医に相談したのですが、「うちの病院では母体が耐えられない特殊な場合にしか行っていない」「他の多くの妊婦が陣痛を乗り越えて出産している」といったような回答が返ってきました。
 現在ではだいぶ選択の自由度があるのかもしれませんが、「出産はお腹の痛みを経験してナンボ」という全く根拠のない精神論みたいなものが根強くありました。(今ではどうか判りませんが) これこそ同調圧力、旧態依然とした習わしに倣っただけの思考停止というものです。

 高校野球の話に戻りますが、私は神奈川県予選から慶応を見て慶応のファンになり、応援しながら見ています。理由は、選手たちが監督の指示に忠実に動くだけの”駒”ではなく、各選手が自分で考えながら野球をやっている様に強く見受けられること、そして非常に楽しそうに野球をやっていること、この2点です。尚、前者に関しては実際に監督さんが選手の主体性を重んじている、と仰っているようです。
 「思考停止」というものが心底嫌いな私としては、慶応球児たちには是非頑張って欲しいと思いつつ観戦しています。

【裁判例】 令和4(行ケ)10111 容易想到性の判断の誤り

 久しぶりに特許庁知財高裁とで進歩性の判断が異なる事案が生じたので検討します。発明内容の説明で少し長くなるかもしれませんがおつきあい下さい。
 「令和4(行ケ)10111」です。判決言渡日は2023/7/25です。無効審判の不成立審決を取り消す請求に対し、理由があるとして審決が取り消されたものです。
特許庁は進歩性ありと判断、裁判所は進歩性なしと判断)
 尚、こんなことを最初に書いてしまうと以降を読む気がなくなってしまうかもしれませんが(苦笑)、今回の案件はあまり教訓になることはないかもしれません。本件発明と引用発明とを対比すると、本件発明の進歩性はないだろうと第一印象で感じる様な内容で、実際のその通りとなっています。本件発明の進歩性を否定した裁判所の判断が、普段の実務での特許庁審査官の判断に近い感じで、どちらかと言うと審判官の判断が「一体どうしちゃったの?」と思ってしまう内容です。

【本件発明1(特許6062746)の概要】
 自動車のドアに用いられるベルトラインモールに関するものです。
 下図の赤ハッチングを付した符号10がベルトラインモールです。多くの自動車に見られるもので、普通は黒色をしているのではないでしょうか。少し柔らかい感じのする部品で、上下に開閉するドアガラス4にぴたっと接している部品です。ドアガラス4の表面を下方に流れ落ちる水滴がドア内部に入らない様にする役割を果たします。

 部品単体の斜視図だと下の図4のようになります。

 この部品は、ドアパネルに沿って車体の前後方向に延びる部品ですが、ピラー部3a(ドアガラス4を上下にガイドする部分)の場所では一部が邪魔になるので、その一部を切除した形状にする必要があります。(一部切除範囲と記載したところ)
 切除してない範囲の断面は下の図1(a)のようになります。

 黄緑色のアウタパネル1がドアの本体部分で、ベルトラインモール10のピンク色の部分でアウタパネル1の上縁部を挟み込む様に取り付けられます。
 ピンク色の部分からは、青色のドアガラス4に向かって赤色の水切りリップ16とサブリップ17が延びていて、水切りリップ16がドアガラス4に接しています。
 自動車をお持ちの方なら、一度お持ちの車を見てみるとイメージが湧く筈です。
 そして切除している範囲の断面は下の図1(b)のようになります。
 破線が切除した範囲です。残ったピンク線の範囲が略C断面形状となり、これにより断面剛性が確保されます。

 さて本件発明1が課題しようとする課題は、上記の様に一部切除した範囲の端末部(図4の符号E)に別部材としてのエンドキャップを装着する必要があるが、この部分は剛性が低くなる為、従来は射出成形で端末部Eにエンドキャップを一体構成しており、この場合専用設備が必要となってしまう、というものです。
 そこで本件発明1は、端末部を、エンドキャップを取り付けることができる断面剛性を有するようにした点に特徴があります。

 本件発明1の構成は、具体的には以下の様にクレーム化されています。
 「車両ドアに装着されるベルトラインモールであって、
 ベルトラインモールはドアガラス昇降部からドアフレームの表面にわたって延在するモール本体部(11)と、
 当該モール本体部(11)の上部から内側下方に折り返したステップ断面形状部を有し、
 前記ステップ断面形状部は、
  ドアガラスに摺接する水切りリップ(16)を有するとともに前記モール本体部(11)の上部から下に向けて折り返した縦フランジ部(12)と、
  当該縦フランジ部(12)の下部から内側方向にほぼ水平に延びる段差部(13c)と、
  前記段差部(13c)の端部より下側に延在させた引掛けフランジ部(13)を有し、
 前記ドアガラス昇降部はモール本体部(11)と引掛けフランジ部(13)とでドアのアウタパネルの上縁部に挟持装着され
 前記ドアフレームの表面に位置する端部側の部分は前記縦フランジ部(12)が残るように前記水切りリップ(16)、前記段差部(13c)及び引掛けフランジ部(13)を切除してあり、前記端部はエンドキャップを取り付けることができる断面剛性を有していることを特徴とするベルトラインモール。

 尚、上記赤字部分は、引用発明とは異なる相違点の部分です。

【引用発明】
 <甲1(特公平2-11419)>



 甲1発明も、本件発明1と同様にピラー部を避ける為に一部切除範囲があり、第1図aは切除されていない部分の断面斜視図であり、第1図bは切除された部分も含めた斜視図です。
 以下、審判において認定された本件発明1と甲1発明との相違点1~4を記載します。

〔相違点1〕
 本件発明1の図1(a)で赤ハッチングで示した部分が「段差部13c」であり、請求項において「水平に延びる段差部」と表現されています。
 これに対し甲1発明では第1図aで赤破線で囲った部分が、本件発明1の「水平に延びる段差部」に対応する部分であり、甲1発明では「水平」ではなく「やや下方に」延びています。

〔相違点2〕
 本件発明1においては、段差部13cの端部より下側に「引掛けフランジ部」が延在されているのに対して、甲1発明1においては、「やや下方に延びる部分」より下側に延在させた「部分」である。 ※「部分」は図面では基部13になると思いますが、特段その役割について甲1に明示の記載はありません。

〔相違点3〕
 本件発明1においては、「前記ドアガラス昇降部はモール本体部と引掛けフランジ部とでドアのアウタパネルの上縁部に挟持」装着されているのに対して、甲1発明1においては、「前記ベルトモールディングMは、車体側のドアパネルPに押込んで取付けられ」ている。

〔相違点4〕
 本件発明1においては、前記端部は「エンドキャップを取り付けることができる断面剛性を有している」のに対して、甲1発明1においては、その端末部に「エンドキャップ3が射出成形」されている。

 ※尚、この相違点4に関しては特許庁も想到容易であると認めており、この点について争いはありません。

【要点】
 裁判所は、相違点1に関し、以下の様に認定しました。

「・・・段差部が「ほぼ水平に」に延びても「やや下方」に延びても、本件発明の作用効果に何ら影響するものではない。そうすると、段差部が「ほぼ水平に」延びるものとすることについて何らかの技術的意義があるとは認められない。
 そして、甲1発明1においても、段差部が縦フランジ部の下部から昇降窓ガラス側方向(内側方向)に「やや下方に」延びることに何らかの技術的意義があるとは認められず、甲1発明1において「やや下方に」延びる段差部を「ほぼ水平に」延びるように構成することは、当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎないというべきである。」

 また裁判所は、相違点2に関し、以下の様に認定しました。
「・・・甲1発明1の段差部の端部より下側に延在させた「部分」(甲1の第1図aにおいて13で示される部分)は、本件発明1の「引掛けフランジ部」に相当する部分であると認めるのが相当であり、甲1発明1においては単に特段の名称が付されていないにすぎないというべきであって、実質的に相違するものであるとはいえない
したがって、相違点2は実質的な相違点とはいえないから、本件審決には、相違点2に係る判断に誤りがある。」

 また裁判所は、相違点3に関し、以下の様に認定しました。
甲1発明1の「押込んで取り付けられ」は、本件発明1の「挟持」装着と実質的に同じように、モールディングがアウタパネルの上縁辺を挟むようにして取り付けられた状態を指すものと認めるのが相当である。
そうすると、相違点3は実質的な相違点ではない。

【考察】
 相違点1に関し、本件発明1の「段差部がほぼ水平に延びていること」が特段の技術的意義を有しないことは誰が読んでも明らかでしょう。また裁判所も言及していますが、本件発明1の課題に対する解決手段(端末部を、エンドキャップを取り付けることができる断面剛性を有する様にした)に鑑みると、段差部は削除されてしまう部位なので、課題解決に何ら寄与しないことも明らかです。
 相違点2、3に関しては本ブログで細かく説明しませんが(長くなるので)、特許庁はかなり無理のある認定をしています。(どうしても特許を維持したい理由が何かあったのではないか?・・・と邪推してしまうくらいに)
 相違点1、2、3いずれも、何と言うか、出願人が厳しい引例を審査官から提示された際に、なんでもいいから引例との細かい違いを挙げて、その相違による作用効果の主張もせず(できないからそうするしかない)、単に「引例には記載も示唆もない」などと苦し紛れに反論するような、そんな雰囲気を感じてしまいます。
 特に相違点1のように、それ特有の作用効果がなくても形式的に引用発明と異なっている場合、その点を主張して特許になるのなら、苦労はしません。
 尚、詳しくは省略しますが相違点1、2、3はそれぞれ、甲1文献とは異なる他の文献には開示されています。このことからしても、審判における本件発明1の進歩性判断はかなり無理のある判断であったように感じます。
 ただ逆に言えば、無効審判での権利者側の代理人は、上記のように進歩性が厳しい状況の中で、うまいこと不成立審決を勝ち取ったものだと思います。このことは、代理人として少し頭の中の片隅に置いておいても良いのかもしれません。

【詳細情報】
知財高裁 裁判例検索結果へのリンク


※注)上記裁判例に関する本ブログの記載はあくまで個人的な見方となりますこと、ご了承ください。


 
 

山形中央、お疲れ様でした!

  暫くブログの更新が滞っていました。
 裁判例を取り上げたいのですがここ暫く、審決取消訴訟での進歩性の判断で特許庁の判断と異なるケースが見られず、ネタがありませんでした。・・・というのは言い訳で、明細書の執筆が忙しく日記・雑記の類も投稿できなかったので、そもそも裁判例の検討もできなかったんですけど(苦笑)。
 さて本日は自分の母校の話を。自分は山形の山形中央高校出身です。
 まぁ、1987年卒業という相当前のことですが、昨年夏の甲子園優勝の仙台育英の監督が言うように「青春は密」なので、高校時代のことは非常に懐かしく思い入れがあります。(ちなみに自分はバドミントン部でした)
 山形中央高校は、大昔は普通科のみでしたが、自分が高校3年になったときに体育科が新設され、最初の1年生が入学してきました。
 その影響であることは間違いないと思いますが、自分がいた当時からすれば信じられないことにいつしか野球部が甲子園に出場するようになりました。
 自分はもともと高校野球ファンで、春夏の甲子園は暇があれば観戦していたので(テレビで、ですが)、それ以来毎年母校の動向は気になっていました。
 そこで今年の話になります。
 昨年秋の県大会で優勝したことや、プロ注目の選手(武田陸玖君)がいることで、今年の夏は甲子園出場の可能性が(かなり)高いと思っていました。
 そして期待通り順当に勝ち上がり、準々決勝では最大の鬼門である鶴岡東にも勝って、更に甲子園出場の可能性が高くなりました。
 そして準決勝の東海大山形戦にも勝ち、昨日は日大山形との決勝戦でした。
 結果は、残念ながら4-6で敗退。
 注目の武田君は、本当に不運だったと思います。打撃では序盤と9回にあと少しでホームランという特大打を放ちましたが、どちらも外野手のファインプレーに阻まれ、特に9回の相手外野手のファインプレーはそうそう見られないレベルの超絶ファインプレーでした。(その外野手は壁に激突して暫く動けませんでした)
 5点を奪われた7回の守りも、味方の失策や、本来なら打ち取れていた当たりが運悪く・・・ということが散見されました。投球内容が凄く悪い結果負けた、という様には素人目には見えませんでした。
 ただ、昨日に限っては日大山形が戦略や運も含めて全体で山形中央よりほんの少し上回っていた、ということなのでしょう。恐らく現状の山形中央日大山形が10回戦って、日大山形の勝率が7割8割ということはあり得ず、少なくとも五分、或いは山形中央の勝率が少し高いのではないかと想像します。しかし、割合としては多くないであろう負けの回が、昨日の決勝戦と重なってしまった。そういうことだと思います。
 ですが高校野球は一発勝負の世界。本当に、残酷な世界だとしみじみ思いました。
 (まぁ、野球以外の他の競技も同様なんですけどね)
 プロ注目の武田君は、試合後に自分の力不足だったと話しているようですが、言うまでもありませんが野球は一人でやる競技ではないので、決して自分を責める必要はありません。極端な話、高校野球チームに一人だけ大谷翔平が混ざっていても、他メンバーが力不足では優勝はままならないので。
 武田君は、今後も大好きな野球に全力で打ち込んで、素晴らしいプレーヤーになってくれることを期待しています。勿論、その他の選手も。
 素晴らしい戦いを卒業生として見させていただいたことに本当に感謝します。
  本当にお疲れさまでした!!!

 最後に日大山形、甲子園頑張って!!!! 期待してますよ!!!!

オーメンズ・オブ・ラブと宝島

 吹奏楽部の経験がある方、或いは吹奏楽を好んで聴かれている方であれば、オーメンズ・オブ・ラブと宝島がいずれも吹奏楽で有名な曲であることはご存知かと思います。
 吹奏楽で有名にはなりましたが、オーメンズ・オブ・ラブと宝島はもともと同じ或るバンドが演奏していた曲であり、そのバンドメンバーが作曲したものであることを知っている人は少ないようです。(吹奏楽向けにアレンジしたのが真島 俊夫氏であり、真島氏が作曲したものと思っている方が多いよう)
 そのバンドは、「THE SQUARE」。のちに「T-SQUARE」と改名し、F1のテーマ曲で多くの人に知られる様になりました。
 オーメンズ・オブ・ラブは1985年にリリースされた「R・E・S・O・R・T」というアルバムの1曲目に収録されたものであり、宝島は1986年にリリースされた「S・P・O・R・T・S」というアルバムの7曲目に収録されたものです。尚、有名なF1のテーマ曲は「S・P・O・R・T・S」の翌年に出された「TRUTH」というアルバムに収録されています。
 そしてオーメンズ・オブ・ラブと宝島は、THE SQUAREのメンバーであった和泉宏隆氏(キーボード/ピアノ担当)が作曲したものであり、即ち同じ作曲者によるものです。
 THE SQUAREは主旋律を伊東たけし氏がウィンドシンセ又はアルトサックスで担当するバンドであり、ボーカルのないインストゥルメンタル・バンドです。(当時、よく比較されるバンドとしてカシオペアがありました)

 以下は私事ですが、オーメンズ・オブ・ラブの収録された「R・E・S・O・R・T」というアルバム、私は高校2年(今から約40年前(^^;))の春にリリースされてすぐにレンタルレコード店で借り(当時、まだCDは普及していない)、カセットデッキで「dbx」というノイズリダクションをかけてダビングしました。用いたカセットテープは「メタルテープ」です。dbx&メタルテープという組み合わせでダビングすることは、自分にとって最も大事なレコードをダビングするということでした。宝島が収録された「S・P・O・R・T・S」も同様です。
 但し、dbxを使うとカセットデッキでしか聞けないため、ウォークマンで聴く為にもう1本別のテープに「Dolby b」という汎用性のあるノイズリダクションをかけてダビングしたりしていました。アイドルオタがCDを「保存用」と「普段用」とかで複数買うのにちょっと似てますかね(苦笑)。
 高校時代、オーメンズ・オブ・ラブは特に私のお気に入りで、何度も何度も聴いたものです。特にアルバムの1曲目であることと、「ファーン、ファ~ファ~ファァァ~ン・・・」という出だしのインパクトが強くて、このアルバムの代表曲であることを強く印象付けています。
 あれから40年近くが経った今、オーメンズ・オブ・ラブと宝島は吹奏楽向けにアレンジされて長年愛され続け、自分の子供が吹奏楽部で双方演奏していることに、とても感慨深いものがあります。
 また、改めて作曲した和泉さんのすごさを感じます。

 原曲を長年聴いてそれが体に完全に染みこんでしまっているため、両曲の吹奏楽アレンジを最初聞いたときは正直多少違和感を感じましたが、聴いているうちにこれはこれで吹奏楽の楽曲としてアリだな、と感じるようになりました。
 恐らく今後もずっと、親しまれ続けていくことでしょう。
 尚、原曲を聴いたことが無い方は是非一度聴いてみてください。個人的には、オーメンズ・オブ・ラブは原曲と吹奏楽版との間にそれほど大きな印象の差はないですが、宝島はかなり違います。「宝島」の原曲は、そのタイトル名を連想させる軽快な曲調であり、特にウィンドシンセの音色が曲のイメージにぴったりです。

ウィンドシンセについて補足
 私はこの楽器について勿論専門知識はないのですが、奏者である伊東たけしさんは、当初「リリコン」というウィンドシンセを使っていました。オーメンズ・オブ・ラブはこのリリコンで演奏されていましたが、とても奥行きがあって透明感のある音色で、私は大好きでした。電子楽器ではあるのですが、音色から電子楽器っぽさをあまり感じないというか・・・
 その後、メーカーが倒産?したとかでリリコンの維持ができなくなったとか。(私は詳しく知りません。ネットで調べると出てきます。) その結果、紆余曲折?を経て現在は「AKAI」というメーカーから「EWI」という楽器名で販売されています。
 ですが、T-SQUAREオーメンズ・オブ・ラブが演奏される際のEWIの音色は、リリコンの音色とはやはり違います。なんというか、電子音的な感じが強いというか・・・仕方のないことではありますが、リリコンの音色は唯一無二ということなのでしょう。

補正なし審判請求の結果・・・

 設計事項を連発する審査官がいるという話を以前書きましたが(こちら)、この審査官から36条違反と進歩性欠如を理由にダイレクト拒絶査定を受けた案件がありました。*1
 この件も他の案件と同様に到底受け入れられない内容であり、お客様のご意向で補正なしで拒絶査定不服審判を請求しました。長年実務をやっていますが補正なしで拒絶査定不服審判を請求することはあまりありません。何らかの補正を行う→前置審査→特許査定というケースが大半です。ですがこの審査官は何をどう補正しても首を縦に振らないことが明らかでしたので、お客様の判断は大変妥当だったと思います。
 先日その件に関し審判官の合議体による判断が出されました。結果、こちら側の主張が完全に通る結果となりました。大変嬉しいことでした。
 ですが審査官の不当な判断により余計な費用と期間が掛かっています。これは出願人側にとっては不運としか言いようがありませんが、今後もこの様なことが続く場合は不運で済ませて良いはずがなく、対策を考えなければなりません。
 

 

*1:主たる事務所において