あすみ総合特許事務所の弁理士の鈴木です。
2年ほど前から不整脈の自覚症状が強く、ときどき通院していたのですが、今年2月に入ってから症状が一層酷くなり、先日受診したところ、手術したほうが良いと言われてしまいました。というわけで急遽、来週入院してきます。
心房細動というもので、特にすぐにどうこうなるものではないものですが、放置すると後々やっかいになるものです。以前から悩まされていた不整脈は、心室期外収縮というもので、かなりの回数出ていたのですがこれ自体は本人の自覚症状が強くなければ放置しても良い不整脈。
しかし私の場合、結構自覚症状が強く、普段から携帯心電計を用いて心電図を取っていました。先日これを医師に見て貰ったら、治療の必要のある心房細動が発見されてしまいました。
10年前に骨折で入院・手術して以来の入院・手術となり、憂鬱ですが、しっかり治して日常生活を取り戻したいと思います。カテーテル手術なので低侵襲で3泊4日で済みますが、術後は当分、禁酒とのこと。(←実はこっちのほうが憂鬱だったりします(苦笑))
ですが術後は日常生活には何ら支障なく、18日からは通常業務に戻ります。どうぞ宜しくお願い致します。
特許審査の電話・面接応対に関するユーザーアンケート
少し前ですが1月4日の特許庁新着情報に、「面接・電話応対に関するユーザーアンケートを試行します」という情報がアップされています。内容は、
「特許審査部では、・・・(中略)・・・世界最速・最高品質の審査を提供するべく、審査業務の改善に取り組んでいます。その一環として、特許の国内出願・PCT出願を対象に、審査官との面接・電話応対についてのユーザーアンケート調査を試行します(令和6年1月~6月)。(以下省略)」
・・・とのことです。
尚、このようなユーザー評価調査は、以前から行うことができていたのですが、積極的に一定期間、多数の案件についてデータをとろうということのようです。
実はこの情報を知らないでつい先日、審査官と電話面接を行ったのですが、電話の最後で「アンケートのURLをメールに記載して送るから是非ご協力お願いします」と言われました。あとでこのことが、上記取り組みであることを知りました。
期間限定(1月~6月)とのことで、この期間で集まったアンケートをどのように利用するのか、或いはどの様に審査官にフィードバックするのかは、判りませんが、これにより偏った判断をする傾向のある審査官の審査の質が改善されるかは、どうでしょうかね(苦笑)。
アンケートには、以下の5つの観点で1~5の満足度をつけるようになっています。(5が満足度最も高い、1が最も低い)
・総合的な満足度
・初回連絡から終了までの事務連絡
・応対時の言葉遣い・態度
・出願人側の説明への理解
・心証の開示や補正の示唆
また、「その他お気づきの点がございましたら、おきかせください」とのことで自由書き込みスペースが設けられています。
そして最後に、「担当審査官へのフィードバック不可」にチェックを入れられるようになっており、チェックを入れると、担当審査官へフィードバックはされません。
今回、私がやりとりした審査官は、お世辞抜きで全てにおいて優れており、気持ちよく評価をさせて頂きましたが、過去投稿した件(久々にメンタルにきました(涙) - 進歩性に悩める弁理士のブログ (hateblo.jp))の審査官だったら、厳しい評価をつけたくなります。
ですが、そういう評価をつけて、担当審査官へフィードバックされると、逆恨みをかって以降の他の案件で不利な審査をされないか・・・心配性な私は、そんなことを考えてしまいます(苦笑)。ですがかといって、担当審査官へのフィードバック不可にしてしまうと、全く意味がないようにも思いますし。難しいところです。
2023年の裁判例<まとめ>
ちょっと(というかかなり)遅ればせながら明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
今回は、昨年判決が出された、進歩性のキーワードを含む審決/取消決定の取消請求事件に関し簡単に(極めて簡単に)総括します。
当方が把握した限りで、39件の判決が該当し、うち8件が成立、31件が不成立で、成立率は20.5%でした。この数字は、近年の推移からすると大きく傾向が変わったというものではないと思われます。(2022年は43件のうち成立が11件で成立率は25.6%でした。)
下に、内訳を記載します。アンダーラインが付されたものが、本ブログで取り上げた判決です。
尚、何か大きな進歩性判断の変化というものは感じられませんでした。本年も引き続きウォッチし、成立事案に関しては本ブログで取り上げていきたいと思います。
2023年お世話になりました
あっという間に2023年が終わります。
今年は進歩性に限らず36条関係などもう少し広い範囲で審決取消訴訟の裁判例を検討しようと思っていましたが、なかなか思う様にいきませんでした。反省です。
実務では今年もいろいろありました。一番印象に残っているのは、昨年と似たようなことなのですが特定の審査官による偏った判断です。審査官だけで千人以上いるのですから、まぁ色々な人がいるのは仕方ありません。ですが実務をやっている側はそれによって甚大な影響を被るので、何とも難しい問題です。勿論、面接を活用して審査官との意思疎通を図って・・・というのがそこでの決まり文句になるのですが、自分の経験上、癖のある審査官というのは何を言っても自分の主張を曲げませんし、こちら側の話を最初から全く聞き入れる気がありません。こういったケースでは、粛々と審判請求或いは分割するのが最も効率的ですが、制度的に何か救済措置が欲しいと切に願うところです。例えば分割出願では、原出願の審査官とは異なる審査官に審査をして頂くことを上申書等なんらかの方法で要望できる様にする、というのも良いように思います。
来年も色々あるでしょうが、一つ一つ乗り越えていくしかありません。
来年もどうぞ、宜しくお願い致します。
秋に梅の花
先週木曜(11/9)のことですが、昭和の森公園でジョギング中、梅の花が咲いているのを見かけました。
「え?いま咲くの??」と驚きましたが、季節外れの温かさでいつもなら2月上旬に花開く河津桜なども咲いているとのニュースもあり、ここの梅も咲いてしまったのでしょう。写真を撮ろうと思いましたがいつもジョギングの際はスマホは邪魔なので携行しておらず、写真は撮れませんでした。
その後天候が悪かったり写真を撮りに行く時間がなかったりで4日ほど経ってしまい、また季節外れの温かさから急激な寒さとなり花が残っているか甚だ疑問でしたが、本日昼食の買い出しついでにカメラを持って見に行ったところ、まだ咲いていました。
この梅は「思いのまま」という品種で、紅色の花と白色の花とが1つの枝に咲く少し珍しいものです。
いま咲いてしまったら、肝心の春の開花時期に咲かないのではないかと、昨今の異常気象がもたらす残念な結果を想像して何だか考え込んでしまいます。
来春、これ以上の花が開いて、相応の時期に相応の楽しみをもたらして欲しいと願うところです。
秘湯に行ってきました
今週、気分転換に秘湯に行ってきました。
山梨県の丹波山村に、三条の湯というところがあります。温泉なのですが車では行けません(苦笑)。
近くに雲取山(標高2017m)という東京都最高峰の山があり、鬼滅の刃のモデルにもなった山ですが、そこに向かう登山道の途中にある標高1103mの秘湯です。ここに辿り着くには幾つかのルートがありますが、最短ルートでコースタイム3時間ほどの山道を歩く必要があります。ただ、登山をやる人であればコースタイム3時間というのはそれほどキツイ行程ではないと思いますが・・・
今回は、登山(ピークハント)はせず、純粋にこの温泉に向かう為だけのハイキングです。実は8月に入った頃からどうも体調が優れず、胃腸の不調と、酷い不整脈とに悩まされてきて、ガチ登山できる様な本調子の体調ではないのと(近頃だいぶ良くなってはきましたが)、最近の登山は時間に追われるようなせわしない行程が多かったので、たまにのんびりしたい、ということで、その通りのんびりしてきました。
ここは携帯のキャリア問わず電波が届かないので、ネットニュースや仕事のメールも見ることができません。なので、それが逆に心地よい!(笑)。
沢の流れる音が響き、ゆったりとした時間の流れの中、リフレッシュできました。
帰りには、同じ丹波山村の「のめこい湯」にも立ち寄りました。大変綺麗で、おススメの場所です。
【裁判例】 令和3(行ケ)10152 サポート要件の判断の誤り
今回は「令和3(行ケ)10152」について検討・・・いえ、軽くコメントします。
判決言渡日は2023/9/20です。無効審判の不成立審決を取り消す請求に対し、理由があるとして審決が取り消されたものです。(特許庁はサポート要件充足と判断、裁判所はサポート要件充足しないと判断)
「軽くコメント」というのは、本ブログでは裁判例を取り上げる場合、争点となる技術内容を極力判り易く説明した上で、争点と自己の考察を記載する方針ですが、時々元気がなくなるときがあります。理由はほぼ一貫しており、「明細書が読みにくい場合」です(苦笑)。
明細書が読みにくいというのは、技術内容が難解(自分にとって不得手な技術分野)であるが故に読みにくい場合と、技術内容はそれほど複雑ではないのだけれど単に明細書が読みにくい場合とがあり、本件は後者のケースです。こんなことを書くとその明細書を書いた先生に大変失礼かもしれませんが、明細書が読みにくいというのは、誰が読んでも読みにくいという場合(書き手側の問題)と、個人の問題(読み手側の問題)の場合があり、本件は後者なのかもしれませんが。
ですのでざっと判決文を読んで、ポイントだけ軽くコメントします。
樹脂成形方法に関する発明で、解決しようとする課題が「生産性及び作業性に優れており、安価に作業ができる」というものであり、それに対する解決手段が、実施例では「搬送トレイ」というものを不可欠の構成としているのに対し、クレームには「搬送トレイ」が含まれていません。判決は、本件発明は本件明細書の発明の詳細な説明に記載されていない発明を含むから、特許法36条6項1号の要件を満たさないサポート要件違反であり、審決はこのことを検討して判断したものといえない、として審決を取り消しました。
結論だけを読むと「ありがちなやつね」という感じですが、無効審判での特許権者側の主張を読んでいませんが課題解決手段がクレームに盛り込まれていないにも関わらずうまいこと主張して無効審判を不成立に持っていった、ということであれば、それはちょっと興味があるところです。
【詳細情報】
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※注)上記裁判例に関する本ブログの記載はあくまで個人的な見方となりますこと、ご了承ください。